朝松健のCthulhu話(3)

ネクロノミコンについての覚書
(井上雅彦氏へのメールの抜粋)

① 初めて「ネクロノミコン」が登場したHPLの作品は──。

「妖犬」(The Hound)です。執筆は1922年。 HPLが32歳の時。彼は1890年の生まれですから、執筆年に10をたせば満年齢になります。
 作中、ぼかしていますが、どうやら、登場人物セント=ジョンの蔵書であったようです。

② HPLの作品で「ネクロノミコン」が出てくるものは──。

執筆年・題名・備考の順で書きます。(原題は省略)

'22 「妖犬」──セント=ジョンの蔵書か?
'23 「祝祭」──キングスポートの旧家で「サドカイ教の勝利」「科学の驚異」等と並べられていた。
'26  「クスルウーの喚び声」──『不死の支那人の言では、奥義を伝授された者が読む狂気のアラブ人アブドゥル・アルハズレッドの「死霊秘法」…』とある。
'27 「狂人狂騒曲」──「イスラムの琴(カヌーン・エ・イスラム)」
'28 「ダンウィッチの怪」──ミスカトニック大学の蔵書
'30 「闇に囁くもの」──ヘンリー・W・エイクリーの書簡で言及される。およびミスカトニック大学図書館の蔵書。
'31 「狂気山脈」──ミスカトニック大学図書館の蔵書。
'32 「魔女屋敷で見た夢」──ミスカトニック大学図書館の地下室(ここに禁書コレクションがある、とされている)
'33 「戸をたたく怪物」──エフレイム・ウェイトの蔵書か?
'35 「超時間の影」──ミスカトニック大学図書館(1908~1913にかけて『ネクロノミコン』のページの欄外にN・W・ピースリーが書き込みした)
'35 「闇の跳梁者」──プロヴィデンス市フェデラル・ヒルの教会跡。

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